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2023.09.04

老化と、糖化、酸化、炎症の関係について

老化と、糖化、酸化、炎症の関係について

老化は複雑な生物学的プロセスであり、そのメカニズムは多数ありますが、糖化、酸化、炎症などが主要な要素としてよく挙げられます。

 

糖化

糖化(グリコキシデーション)とは、糖分子がタンパク質や脂質と非酵素的に結合する生化学的反応です。この反応によって生成された高分子は「AGEs(Advanced Glycation End-products)」と呼ばれ、これが細胞や組織に蓄積すると機能が低下します。たとえば、AGEsはコラーゲンと結合することで皮膚の弾力性を低下させる可能性があります。糖化はまた、糖尿病や心血管疾患とも関連しているとされています。

 

酸化

酸化ストレスは、体内で生成される活性酸素種(ROS:Reactive Oxygen Species)が抗酸化メカニズムを上回り、細胞構造にダメージを与える状態を指します。ROSは通常、代謝プロセスの副産物として生成され、一定の量では必要な役割を果たします。しかし、過度な酸化ストレスはDNA、タンパク質、脂質にダメージを与え、これが老化や様々な疾患(がん、心疾患、神経変性疾患など)につながると考えられています。

 

炎症

炎症は基本的には、体が感染や怪我に対する防御反応です。しかし、炎症が持続する(慢性炎症)と、健康な組織にもダメージを与える可能性があります。慢性炎症は、老化の進行に大きく寄与すると広く考えられています。サイトカインと呼ばれる炎症性の分子が血流に放出されることで、細胞間の通信やティッシュの修復メカニズムに影響を与える可能性があります。

これらのプロセスは

相互に関連している場合が多く、一つが他のプロセスを引き起こす、または悪化させる可能性があります。例えば、糖化は酸化ストレスを高める可能性があり、酸化ストレスは炎症を引き起こす可能性があります。このように、これらの要素は複雑な相互作用を持っており、それが全体として老化に寄与していると考えられています。

 

 

この中でも、慢性炎症は、老化だけでなく、糖尿病、がん、うつ、アルツハイマー型認知症、などの病気の原因の一つになっている可能性が示唆されています。

慢性炎症と老化との関連は科学的にはまだ完全に理解されていませんが、多くの研究がこの二つの関連性を示唆しています。

慢性炎症がなぜ老化の原因になる可能性があるかを説明するいくつかの仮説があげられています。

 

  1. DNA損傷: 慢性炎症はDNAに損傷を与える可能性があり、これが細胞の老化を促進する可能性があります。
  2. ミトコンドリアの機能低下: 炎症はミトコンドリア(細胞のエネルギー生成部位)にストレスをかける可能性があり、その結果としてミトコンドリアの効率が低下する場合があります。ミトコンドリアが効率よく働かないと、細胞は老化します。
  3. 細胞分裂の問題: 慢性炎症はテロメア(染色体の端部にあるDNA領域)の短縮を促進する可能性があります。テロメアが短くなると、細胞は正常に分裂できなくなり、老化が進む可能性があります。
  4. プロテインの異常: 炎症はプロテインが正しく折りたたまれないなど、細胞内のプロテインホメオスタシスに影響を与える可能性があります。これが細胞の機能低下と老化を引き起こす場合があります。
  5. 代謝の乱れ: 炎症はインスリン抵抗性や他の代謝異常を引き起こす可能性があり、これが老化に影響を与える場合があります。
  6. 免疫応答の低下: 慢性炎症は免疫システムにも影響を与える可能性があり、特に年齢と共に自然に低下する免疫応答がさらに悪化する可能性があります。
  7. 細胞間通信の障害: 炎症物質(サイトカインなど)は細胞間の通信を乱す可能性があり、これが組織や器官の機能を低下させ、老化を促進する場合があります。

 

 

エクソソームは、炎症を抑える効果もあり、抗炎症という作用は細胞の老化を防ぐことができると考えられています。

また酸化は、抗酸化作用の強い、高濃度ビタミンCなどの抗酸化作用のある治療でも抑えることができます。糖化は、適切なダイエットにより血糖を安定化させることが重要です。

炎症、酸化、糖化に対し複合的にアプローチすることで、細胞の老化をより防ぐことができるようになると思います。